ホンダの自動運転戦略が大きな転換点を迎えています。2025年8月にHelm.aiとの多年契約を発表し、Level 3自動運転の量産開発を本格化させる一方で、実装目標は1年遅れの2028年へ延期されました。
Helm.aiとのパートナーシップ
ホンダは2025年8月、カリフォルニアのAIスタートアップHelm.aiと多年契約を締結しました。両社は2019年からHonda Xceleratorプログラムで協業を続け、2021年12月にはホンダがHelm.aiへ投資を行っています。
今回の契約拡大のポイント:
- Helm.ai Vision — カメラーベースの知覚スタック。車両、歩行者、車線、標識を認識(Level 2+〜Level 3対応)
- Helm.ai Driver — DNNベースの経路予測モデル。エンドツーエンドAI学習で、LiDARや高精度マップなしで高速・市街地の自動運転を実現
- ホンダの「Navigate on Autopilot」プラットフォームのLevel 3化を目指す
- 量産開始目標: 2027年以降
Helm.aiのアプローチはTeslaのVision方式に近く、カメラ+AIのみで自動運転を実現する方向性です。LiDAR不要という点は、コスト面で量産車への展開に有利に働きます。
しかし、目標は2028年に延期
Nikkei Asia(2026年4月26日記事)によると、ホンダはAI自動運転の実装目標を当初の2027年から2028年へ1年延期しました。理由はEV戦略の見直しです。
具体的には、北米市場向けに計画されていた「0 Series Saloon」EVコンセプトが中止になりました。この車種が自動運転の最初のプラットフォームになる予定だったため、その消滅が開発スケジュールに直撃した形です。
なぜこの話題が重要か
ホンダの自動運転戦略には2つの見方ができます:
ポジティブ面:
- Helm.aiとの深い関係(2019年から6年以上の協業)は技術的基盤が堅実
- LiDアワレスの方針は量産コストを抑え、大衆車への展開を現実的にする
- 「安全で手頃な自動運転」というHondaらしいアプローチ
懸念材料:
- 0 Series Saloonの中止は、車両プラットフォーム側の問題であってAI開発そのものの遅れではない
- とはいえ、 Teslaや中国メーカー(BYD、Xpeng等)は猛烈なスピードで実装を進めている
- 2028年という時期は、競合がすでにLevel 4領域に入っている可能性がある
まとめ
ホンダの「ソフトウェアファースト」への転換は明確ですが、ハードウェア(車両)側の戦略転換がそのスピードを制約するという構図が見えます。E&Eアーキテクチャーの観点からは、プラットフォーム非依存でAIスタックを開発できるかが、今後の鍵になりそうですね。
Helm.aiとの協業がどう実を結ぶか、2027〜2028年の量産実現を注視していきたいです。
情報源:Honda公式プレスリリース(2022年1月20日)、WardsAuto/BusinessWire(2025年8月20日)、Nikkei Asia(2026年4月26日)